PROJECTS
彩-いろどり-(辰野町)

規格外野菜をレスキューして農家を支援。食品ロス削減をめざすアプリ発案にも協力


サービス/その他

廃棄野菜を少しでも減らし、必要とされる場所に届けたい。その一心で、日々東奔西走する「彩-いろどり-」代表の竹内和恵さん。さまざまな人とつながりながら、生産者をサポートし、野菜の行き場となる販路を広げるべく力を注いでいます。しあわせバイ信州の理念ともリンクする取り組みと、熱い想いをうかがいました。

 

 

運送業の経験を生かし、食品廃棄を出さない取り組みを

 

会社として「彩」を設立したのは2023年2月。以前は運送の仕事をしていて、トラックで農道を走りながら、農作物が畑に棄てられているのを見て気になっていました。農家さんに聞くと、サイズや形が出荷する規格に合わなかったり、量が採れすぎてしまったりすると売れないから、畑に返して肥料がわりにするんだと。私の家でも野菜や米を作っているのでわかるのですが、形が違っても少し傷がついていても、味や品質には問題なく、ちゃんとおいしく食べられるもの。そうした野菜をなんとかできないかと思い、これまでの運送業の経験を生かした、食品廃棄を出さない仕組みづくりを考えました。

 

廃棄されてしまう野菜を引き取って現金化できれば、農家さんの利益になります。またその野菜を必要とされる場所に運べば、新鮮なうちにおいしく食べてもらうことができるし、加工して保存することもできます。

会社設立にあたっては、野菜ソムリエの資格を取ったり、品目ごとに決まっている規格についても勉強。農家さんには市場価格を参考にして現金払いしています。生産者がうるおえば、地域もうるおいます。食品廃棄を減らすことが、地域経済の循環にもつながると考えています。

 

 

買い物困難な世帯や施設に野菜を配送。カフェでは惣菜やジャムなどに

 

「ベジとテーブル」の料理には、竹内さんの声がけで集まった野菜がふんだんに

 

 

地元辰野町を中心に、長野県内30軒ほどの生産者さんと連携し、規格外野菜や余剰野菜を引き取っています。私が直接畑に行って、収穫や出荷の手伝いをしがてら集荷することもありますし、いま拠点にさせてもらっているカフェと惣菜の店「ベジとテーブル」まで生産者さんが届けてくれるケースもあります。

そうして集まった野菜は、介護施設をはじめ、企業店舗や惣菜店などに配送。また個人の方で、子育て世帯や免許返納で買い物に行けない高齢者のお宅などにもお届けしています。

 

そのほか、「ベジとテーブル」では惣菜に加工しています。カフェのランチは野菜たっぷりですごくおいしいんですよ。皮も葉もベジブロス(野菜出汁)に活用するので、生ごみをほとんど出さずに無駄なく使い切ってくれます。コールドプレスジュースや、その野菜の搾りかすをさらに利用したクラフトコーラといったメニューも。

また、惣菜やスープを真空・冷凍にしたり、瓶詰めのジャムやソースにしたりと、長期保存できる商品の加工もここで行なっています。

 

 

雪中キャベツのカレーポトフランチ1200円など、野菜をおいしく摂れるメニューが充実

 

 

思いを同じくする企業と手を組んで、オンラインマルシェやPAにも出品

 

 

現在、信濃毎日新聞社が運営するアプリ「HELAS(ヘラス)」にも参画しています。

HELASはもともと、コロナ禍を経て増えてしまった食品ロスを削減すべく、県内の飲食店や小売店と消費者をマッチングするアプリでした。それに加えて、農作物のロス削減にも取り組みたいと、信濃毎日新聞社ビジネス開発局の青木靖さん(1枚目の写真右)が声をかけてくださって。システム作りから私も一緒に考えることになったのです。

 

2024年7月からスタートした「HELASオンラインマルシェ」は、生産者が出荷できなかった野菜や果物を出品し、全国の消費者とマッチング販売・配送を行う仕組みです。長野県内で5000軒以上の農家の商品配送を担っていて、日頃から「出荷できない農産物を販売につなげられないか」という農家の声を聞いていたヤマト運輸さんが連携。送料最大66%引きで、集荷・発送を行なってくれるのですから、ありがたいですよね。

 

 

120サイズの段ボールに野菜と果物を詰め、2000円で出品

 

 

私が運営する「彩」は、野菜10品+果物1品を出品しています。さまざまな農家さんとお付き合いがあるからこそ、バラエティに富んだ農産物を詰め合わせることができ、リピーターの方には「開けたときの楽しみがある」と喜んでいただいています。

現在、HELASの登録数は6500件で、そのうち長野県外は400件ほど。「彩」の商品購入者は県外の方が少し多いですが、最近は野菜の価格が高いこともあり、県内の方にもたくさん利用していただいています。

 

 

やさい村では訳あり野菜として出品。手頃な価格で売れ行きは好調

 

 

小黒川PA(下り)内の農産物直売所「やさい村」にも出品しています。このネギなんて、規格外とは思えないでしょう?でも、ほんの少し曲がっていたりサイズが小さかったりするだけで、これまでは売り先がなかったんです。大きくなりすぎたブロッコリーは房を小分けにして。やさい村では名古屋方面に帰る方が立ち寄って、長野の野菜を買って行ってくれるんです。

 

 

小黒川PAの店長、北澤和浩さん(右)と

 

 

 

今後考えているのは、クラウドファンディングで協力を仰ぎ、自宅の敷地内に野菜の発送作業場兼保管スペースを作ること。すぐ裏には温泉施設もあるので、災害があった際は防災の拠点にもなれたらと思っています。

 

これからも廃棄ゼロを実現するため、農家さんのサポートを惜しみなく行っていきます。オンラインマルシェや直売所での販売などを通じて、長野県のおいしい野菜を多くの人に知っていただけたらうれしいですし、農家さんの利益が増えればまた安心して農業に専念し、おいしい野菜を作ってもらえる。そんないい循環をめざして、奔走したいと思います。

 

【詳細情報】

社名
彩-いろどり-
住所
上伊那郡辰野町樋口2243-1
TEL
080-5108-3048
URL
https://irodori-shinshu.com
https://www.instagram.com/vegetous_tatsunomachi/(ベジとテーブル)
https://helas.jp/(HELAS)
https://sapa.c-nexco.co.jp/sapa/shop/detail?sapashopid=553(小黒川PA)
アルラ
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【この記事を書いた人】

ARURA・しあわせバイ信州編集部

「信州が大好き!」をモットーに、発見や驚きに満ちた情報、ほっと安らぎを感じられる情報、テレビや雑誌では紹介しきれなかった情報など、長野県をますます好きになる情報を発信します。