信州のおいしい食材に着目し、商品化。ゆたかな食と生活文化を創造しています

1951年、四方を山に囲まれた長野県で、水産物の卸売事業を営む「長野中央魚市場」として誕生したマルイチ産商。以来、県内各地に水産市場や食品流通センターを展開、現在では原料調達から加工、商品化に至るまでの全工程に関わる「総合食品流通産業」として成長を続けています。今回は、しあわせバイ信州にまつわる取り組みについて、食品事業部の小野奈美さん(右)、町田陽さん(左)にお話をうかがいました。

マルイチグループの原料調達力と商品供給力を活かした、多彩なオリジナル商品

地域に必要とされる、スペシャルな存在を目指して

マルイチ産商では2030年に向けた中長期的なビジョンとして、「地域のスペシャルパートナーになりたい」という目標を掲げています。「信州と共に生きる」「顧客と共に生きる」「産地と共に生きる」――という3つの事業領域で、まずは地域に必要とされる存在になることを目指しています。

その取り組みのひとつが、十数年前から行っているオリジナル商品の開発です。私どもは地元の卸として、地域のメーカー様と連携した商品開発に取り組んでいます。

開発する商品は、常温で流通できる食品と菓子。例えば、当社で扱うブランド肉を使ったレトルトカレーは松本市のセントラルパック様と、信州味噌にんにくだれは中野市のマルヰ醤油様と、信州八割そばの乾麺は長野市の山本食品様と共同開発するなど、可能な限り地域のメーカー様とタッグを組むことも大切にしています。

最新商品は、黄色いパッケージの「しあわせ牛乳ケーキ」。こちらは飯田市のお菓子のシアワセドー様に製造をお願いしたもので、信州産牛乳を使ったふんわり口どけのいいケーキです。これまでの半生菓子にはなかった鮮やかなパッケージデザインを採用した結果、幅広いお客様に手に取っていただける商品になりました。

2013年に発売開始したオブセ牛乳のお菓子シリーズ。現在は14種ほどラインナップ

ヒット作は、ご当地牛乳とコラボしたお菓子シリーズ

数あるオリジナル商品のなかでも好評をいただいているのが、小布施町にあるオブセ牛乳様が製造しているご当地牛乳「オブセ牛乳」を使ったお菓子のシリーズです。

初めてオブセ牛乳を飲んだとき、おいしい！と感激したと同時に、北信地域で長く愛されているオブセ牛乳なら、「長野らしさ」を全面に打ち出せる商品が作れるのではと思ったのです。

オブセ牛乳が持つ牛乳本来の甘みは、80度15分という殺菌法にあると知り、開発にあたってはこの風味を損なわないことを第一に考えました。第一弾商品の「焼きドーナツ」と「焼きブレッド」は、水を使わずに牛乳だけで生地を練ったもの。素朴でやさしい甘さで、小さいお子さんからお年寄りの方まで親しんでいただいています。

子どもが健やかに成長できるようにという思いを込めた、オブセ牛乳の「赤ちゃん天使」のロゴマークも、パッケージに反映させているんですよ。

「オブセ牛乳キャラメル」はミルキーでやさしい味わい

牛乳は賞味期限が短く、そのおいしさを全国に伝えるのは難しいもの。でも日持ちするお菓子に加工すれば、全国の皆様に知っていただけます。オブセ牛乳の西岡社長からも、「これからも一緒にオブセ牛乳を盛り上げていきたい」と言っていただき、とてもありがたかったです。

こうした商品づくりを通じて、地域の活性化、そして長野県のおいしい食材のPRにつなげていけたらうれしいですね。

「今後はドレッシングなどの『食べ方提案』もしていきたい」と、開発チームのふたり

食品を通して、長野のおいしい食材や食文化を伝えたい

オリジナル商品は、リフレッシュするものを含めて、年間10品前後開発しています。オブセ牛乳シリーズに関しては、ブランドとしてしっかり定着できるようにブラッシュアップを重ねていき、今後も新商品が登場する予定です。

ほかにも、しあわせシリーズの商品も展開を広げていきたいですし、ご当地カップ焼きそば「ペヤング 信州みそにんにくやきそば」も大変好評だったことから、第2、第3弾の商品も考案中です。

長野の食材、そして食文化を多くの方に伝えていくことが、長野で生まれ育った卸売業の使命だと思っています。

全国発売の商品は、食品を通じて「長野ってこんなにおいしいものがあるんだ」と、全国の方に知っていただけるように。一方、長野限定販売のものは長野みやげとして、また長野の方が県外の方に差し上げるときに地元のことを自慢できるような、そんな魅力ある商品づくりに注力していきたいですね。