PROJECTS
本坊酒造株式会社 マルス駒ヶ岳蒸溜所(宮田村)

その土地の水と気候風土が育むウィスキーとワイン。上伊那生まれの豊かな味わいで魅了


メーカー/食品・農林水産

冷涼な気候と中央アルプス山系の豊かな水に恵まれた木曽駒ヶ岳の麓、宮田村に蒸溜所を構えて40年。本坊酒造株式会社 マルス駒ヶ岳蒸溜所では、地元で栽培する大麦を原料にしたウィスキーづくりも手がけています。しあわせバイ信州の理念とも通じる思いを、ディスティラリーショップ主任の森本剛史さん(右)と、製造主任の秋山克樹さん(左)にうかがいました。

 

 

熟成環境に恵まれた宮田村に蒸溜所を設立
 

「シングルモルト駒ヶ岳」は、アップルティーやあんず、熟した柿を想わせるふくよかな味わい

 

本坊酒造は1872年に鹿児島で創業し、1909年に焼酎づくりを始めました。1949年にウィスキーの製造を開始、1960年には山梨でワインとウィスキーの製造に着手。そしてより豊かな熟成環境を求めて、1985年に南信州・宮田村に蒸溜所を設立し、今年40周年を迎えました。
 

宮田村に蒸溜所を設けた理由は、熟成に適した環境であること。ウィスキーの樽は呼吸していて、外気を取り込んだり、原酒の揮発成分を内側から放出したりしながら熟成していきます。そのため、気温差の大きい環境はウィスキーづくりにとって理想的なのです。夏は30度を超え、冬は−10度に届く日もあるほどの大きな寒暖差は、マルス駒ヶ岳蒸溜所のウィスキーづくりには欠かせません。
さらに、中央アルプスの伏流水が豊富にあることも魅力です。蒸溜所の敷地内、地下120メートルから汲み上げる軟水は、お酒の味わいを邪魔しない、さらりとしたまろやかさがあります。
 

ウィスキーづくりにおいて、人の手が入るのはわずか1週間ほど。あとは樽の中で3年以上、じっくり、自然の温度で熟成していくのです。
その土地の風土を生かし、地域に根ざすという創業の精神をしっかりと受け継ぎ、マルス駒ヶ岳蒸溜所ではウィスキーをはじめ、ワインや梅酒などの製造を行っています。
 
 
地元産原料でつくる、ローカルなウィスキーとワイン
 

右は、上伊那産二条大麦が原料の「シングルモルト駒ヶ岳 MARS KOMAGATAKE DISTILLERY FESTIVAL 2025 -Local Barley-」。左は、宮田村産ヤマソービニオンでつくるワイン「紫輝」と「宮田ぶどうジュース」

 
 
10年ほど前には、地元産の原料でウィスキーをつくりたいという思いから、駒ヶ根市と宮田村の農家さん、行政の支援のもと、二条大麦の生産を始めました。もともとこの地域では六条大麦は栽培されていましたが、二条大麦の栽培は初めてで、冷涼な気候に適した品種の選定からスタートしました。現在20軒ほどの農家さんの協力を得て栽培を進めており、収穫量は少しずつ拡大し、昨年は23トンの二条大麦が収穫できました。
 

やはり、地元産麦芽でつくるウィスキーは樽に入れる前から味わいがまるで違って、麦の豊かな風味のある原酒になりました。それを3年以上かけてじっくり熟成させることで、樽の木の香りや、その樽にかつて入っていたお酒の風味などが溶け込み、どっしりとした重厚感のある味わいへと変化していきます。
 

地元産大麦を「ローカルバーレイ」と呼んでいますが、そのローカルバーレイを使用したシングルモルトウィスキーは、爽やかさとリッチさを兼ね備えた、上伊那を感じる一本になったと思います。こちらは5月に開催したマルス駒ヶ岳蒸溜所祭りで抽選販売したところ、大変な人気に。農家さんたちにも完成を喜んでいただけたのがうれしかったです。
 

また、宮田村で栽培されたヤマソービニオン(山ぶどうとカベルネ・ソーヴィニヨンの交配品種)でつくるワイン「紫輝(しき)」も好評です。山ぶどう由来の爽やかな酸味と野生的で郷愁をそそる独特の風味が楽しめる、ここならではのワイン。ヤマソービニオンはぶどうジュースやビールの原料としても使用されていて、新たな農産物による宮田村の地域振興にもつながっています。
 

迫力ある蒸留器など、製造工程の見学もできる

 
 
蒸溜所の見学や、貴重なウィスキーのテイスティングも

蒸溜所が稼働している時期には、ウィスキーづくりの設備や製造工程の見学も行っています。またビジター棟のテイスティングバーでは、50〜60種のウィスキーを中心にドリンクメニューを用意。ハーフショット(15ml)でいろいろなウィスキーを飲み比べできます。先ほどご紹介したローカルバーレイのシングルモルトウィスキーなど、店頭には並ばない貴重なウィスキーも味わっていただけます。
隣接するディスティラリーショップでは、蒸溜所限定ウィスキーやオリジナルグッズの販売も。県外の方へのお土産としても喜んでいただいています。
 

貯蔵庫には数千個もの樽が並んでいる

 
 

もともと鹿児島では地元のさつまいもを使って焼酎をつくっていましたし、ここ宮田村でのウィスキーやワインづくりにおいても、地元産の原料でつくるということに大きな意義を感じています。二条大麦やヤマソービニオンを使用する取り組みは今後も継続し、上伊那の自然環境をフルに生かしながら、これからもおいしいお酒をつくっていきたいと考えています。長野県の皆様にも、地域に根ざした「地酒」として、気軽に楽しんでいただけたらうれしいですね。

【詳細情報】

社名
本坊酒造株式会社 マルス駒ヶ岳蒸溜所
住所
上伊那郡宮田村4752-31
TEL
0265-85-4633
https://www.hombo.co.jp/visiting/komagatake/