ARURA・しあわせバイ信州編集部
「信州が大好き!」をモットーに、発見や驚きに満ちた情報、ほっと安らぎを感じられる情報、テレビや雑誌では紹介しきれなかった情報など、長野県をますます好きになる情報を発信します。
上田・東御・丸子町の木工業者9社が集まって、2002年に設立したフォレストライフ協同組合。信州産木材を使って木製家具をメインに製造し、公共施設などに設置しています。近年では、しあわせバイ信州の理念と合致する、県産の間伐材を活用した木製工作キットを手がけて話題に。その開発秘話や今後の展開について、事務局長の福田博史さんにお話をうかがいました。
持続可能な社会をめざし、信州産カラマツで家具を製作
フォレストライフ協同組合は、個人経営の木工業者の集まりです。私自身は祖父が始めた福田木工所の3代目で、以前は扉や襖、障子といった建具を製作していましたが、時代とともに建具の需要が減り、家具づくりを手がけるように。そんななか、2000年代の初め頃、森林の新陳代謝を促して地球温暖化対策に貢献するため、県から「信州産木材を使って家具をつくってほしい」という呼びかけがあったのです。
信州産木材というと木曽ヒノキが有名ですが、東信エリアで採れるのはカラマツがメインです。カラマツはヤニや節が多いうえ、ねじれながら成長するため、変形したり割れたりしやすい。家具製作に使うのは初めての経験で、最初は苦戦しましたが、何年もかけて木材加工技術を磨いていきました。
そうして20年ほどは、図書館のブックトラックや役場のベンチなど、大型のカラマツ家具を製作してきました。自治体からの仕事は責任感を持って取り組んできましたが、考えてみると、大きな木工家具は価格的なこともあり、個人の方まで届きにくい。森林の循環のために県産木材を使って製品をつくっているけれど、まだまだ一般には普及できていないのでは、という課題がありました。
子どものアイデアから生まれた木製工作キット「もっくら」がヒット
そんなあるとき、小学生の息子が学校の工作コンテストに出したいからと、家具製作の際に出る木端を使いたいと言ってきたのです。それでいくつか木端のパーツを用意したところ、大小いろいろを組み合わせて、上の子が恐竜、下の子がサソリを組み立てたのです。それを見て、大人の自分たちも「これはおもしろいな」と。
そこで、下穴を開けた木製ブロックとネジをセットにしたキットをつくろうと思い立ったのです。
木工クラフトだから、名前は「もっくら」。見本として9種類の完成写真はつけていますが、設計図はなく、発想次第で自由自在に好きな形をつくることができます。ポイントは、ねじ止めなので、関節を動かせること。レゴとプラモデルの間のような感じで楽しんでもらえます。
人工物にはしたくないので、やすりもかけず、角もそのまま。本物の“木感”を出しています。ネジを外せば何回でもつくり直せるし、色を塗ったり、絵を描いたりしてもいい。そんな自由度が高いところも魅力だと思います。
親子で遊ぶなら2〜3歳から楽しめるし、プラモデル感覚でハマる大人の方もいるようです。木のぬくもりを感じながら手を動かしてつくれることから、高齢者の脳トレにもおすすめです。
依頼をいただいて、昨年は富士見町の小学校の授業で出前講座も行いました。ショッピングモールでのイベントやお祭りの際に、ワークショップを行ったことも。毎回反響が大きく、こうした木製玩具は教育とも親和性が高いと実感しました。
手軽に使える木製小物を県産木材で
シンプルでミニマムなスマホ立てやメモスタンド、フォトフレームなど、これからは県産木材を使った小物にも力を入れていきたいと考えています。今あるのは自治体や企業のノベルティとして製作したものですが、評判もよく、今後の商品化を検討中です。今年の夏からは、県内の大学生と共同開発という形で、県産木材を使った木製文具にも着手する予定です。
20数年間、私たちが取り組んできたことは変わらないのですが、社会は再生可能な資源である木材を活用する方向へとシフトしてきました。森林資材を循環させて未来につなぐために、県産材の知名度をもっと高めていきたい。今後は県内だけでなく全国に販路を広げ、信州産木材の魅力をより多くの方に届けられたらうれしいですね。
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