時代のニーズに応え、大豆商品の可能性を拓く。自由な発想から生まれた新商品にも注目

「味付け油あげ」で国内シェアトップクラスを誇る、株式会社みすずコーポレーション。創業以来120年以上にわたり、信州に根ざして歩んできた老舗食品メーカーです。商品づくりに対する想いや、地域とつながる取り組み、新商品開発の背景について、常務取締役の塚田泰之さん(写真中央)、商品開発部の今井真理子さん(左)、小山夏実さん(右)にお話をうかがいました。
始まりは凍り豆腐(こうや豆腐)。信州の風土ととともに紡いだ124年

こうや豆腐、油あげを中心に、豊富なラインアップをそろえる
当社は1902年(明治35年)に創業し、今年で124年を迎えました。原点は、こうや豆腐。信州では凍み(しみ)豆腐、凍り(こおり)豆腐、高野豆腐などとも呼ばれています。冬、厚い雪に覆われる北信濃の気候を生かした産業を模索していた創業者は、農閑期の副業になればとこうや豆腐の製造に着手。近隣の農家さんが作るこうや豆腐も買い取り、主に大阪や東京で販売しました。
2代目社長の時代には、こうや豆腐を一年中製造できる方法を考案。本格的な工業生産がスタートし、企業として大きく成長しました。
1974年からは油あげの製造を開始し、これが経営の大きな柱に。「味付けいなりあげ」は、ご家庭でごはんを詰めるだけで簡単にいなり寿司が楽しめる商品として大ヒット。特にレトルト加工品は常温流通でき日持ちもすることから、全国に販路が広がり、当社の主力商品となりました。
こうした歩みの中で大切にしてきたのが、コーポレートキャッチフレーズである「おいしいは、やさしい。」という想い。時代が求める“おいしい自然”を追求し、信州の自然の恵みに心から感謝しながら、人にやさしい、地球にやさしい食品づくりを目指しています。
時代とともに進化する、多彩な大豆加工商品

家庭で簡単に調理して味わえる大豆加工商品がずらり
当社では、時代とともに変化する食生活やお客様のニーズに対応し、大豆の良さを活かした商品づくりに取り組んでいます。
主力商品である味付けいなりあげは、常温保存が可能なレトルト加工と、味へのこだわりを重視したチルド加工(要冷蔵)の2タイプ。味わいも、昔ながらの甘じょっぱいものだけでなく、出汁を効かせたものや、砂糖とみりんでコクのある甘さに仕上げたものなど、多彩なバリエーションをご用意しています。
業務用では梅や柚子、抹茶、黒糖味なども展開し、見た目の色でも楽しめる商品をそろえています。
出汁の旨みが上品な味付けうどんあげも人気商品。ふっくらジューシー、のせるだけで手軽にきつねうどんやきつねそばを味わっていただけます。
こうや豆腐も、使い勝手を高める工夫を重ねてブラッシュアップ。食べやすい小さめサイズにしたり、粉末調味料を添付したり、そのまま食べられる含め煮タイプの味付けこうや豆腐や、味噌汁に入れるだけで使える細切りタイプなど、さまざまな商品を展開しています。
個人的に気に入っているのは、こうや豆腐を粉状にした「粉とうふ」。こちらを使って炒り豆腐風にすると、ふわふわでとてもおいしいんです。粉とうふはハンバーグにもおすすめです。通常、豆腐をハンバーグなどに加える際は水切りが必要ですが、粉とうふならそのまま使えてとても便利です。
信州らしさを大切に、ほかにはないりんごスイーツを開発

見た目はりんご、食べると濃厚なホワイトチョコがしみしみ。「りんごショコラ」は信州土産にも
2026年2月には、新商品「りんごショコラ」が誕生しました。これまでは、当社で扱う商品の主原料である大豆を活かして新商品をつくることが多かったのですが、今回はそうした枠にとらわれず、自由な発想で挑戦してみました。
信州らしさを大切にしたいと、選んだのは長野県産りんご。形やサイズ、わずかな傷などで店頭に並ばないりんごを活用することで、フードロス削減にもつながればと考えました。
りんごは皮付きのままカットするのがポイント。栄養価の高さに加え、見た目にもりんごらしさが感じられます。りんごを一度フリーズドライにした後、真空状態でホワイトチョコレートを染み込ませています。
口に運ぶと、しっとりサクサク、ホワイトチョコのやさしい甘さとりんごのほのかな酸味が広がります。
正方形のパッケージも、女性に手に取っていただけるようにと意識したもの。りんごショコラの世界観を大切に、みすずコーポレーションのロゴマークなどもあえて入れず、レトロなイメージでデザインしました。
現在はオンライン販売を中心に、地元スポーツチームの試合会場や長野県フェアなどでも販売し、多くの方に知っていただけたらと考えています。

りんごの良さを活かした新商品を開発。今後はほかの県産果物にも注目しているという
信州の素材を打ち出す商品づくりの背景には、地域とのつながりを大切にしてきた歩みがあります。
当社の商品は地域の学校給食にも採用されているほか、長野市内の小学生を中心に工場見学も受け入れています。2018年には会社の敷地内に保育園を設立。社員を中心に地域枠も設け、食育にも力を入れています。
さらに、こうや豆腐や油あげの副産物として生じる「生おから」は全量を乾燥。市販用・業務用の食品用乾燥おからとして、また非食品用乾燥おからとしてはきのこ培地の原料の一部に活用。こうした資源循環型の取り組みも、「おいしいは、やさしい。」という当社の想いを体現するものです。
今後は、県内企業とコラボして、新商品やレシピ開発なども行っていきたいと考えています。
主力である味付け油あげ、信州の食文化を受け継ぐこうや豆腐、そして新分野のお菓子。これからの展開にも、ぜひご期待いただければと思います。
